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おいしい牛乳

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ご存知「明治のおいしい牛乳」。ストレートなネーミングと佐藤卓さんによるシンプルなパッケージで登場以来トップシェアを守り続ける商品です。おそらくカップヌードルやポカリスエットのように定番商品としてこの先もずっと生き残っていくことでしょう。

 

写真の右側のパッケージはキャップ型の新容器です。九州地区先行発売で店頭の商品はこれに切り替わっています。メリットとしては「開けやすい」「リキャップ可能」「そそぎ口に指が触れにくい」「横幅が小さくなって持ちやすい」などなどあるらしいですが、ネット上では「900mlに減ったのに値段が同じなのは実質値上げでは」「キャップにプラスチックを使うと分別が面倒だ」と厳しい意見も見られます。

私としてはメリットもデメリットもまぁそうかもね、ぐらいで新パッケージについて特に意見はなかったのですが、ひとつ不便な点に気付きました。

我が家ではカフェオレに使ったりフルグラに使ったりするので2、3パック常備しています。

 

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おわかりいただけるでしょうか。

 

そう。どれが開封済みなのかわかりません。これは地味に不便です。紙の牛乳パックの開封口の折り目には開封済みの目印としての役割もあったんですね。意識していなかったファンクションです。

 

さて。全国販売が開始されるときには何か解決策がなされるのか。

なければ「未開封はそっぽを向けて置くこと」という我が家ルールを設定しなければ。

 

 

 

パーフォレーション

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この上下の穴はパーフォレーションといって、一定間隔でフィルムを送るために開けられているものです。

このパーフォレーション、映画っぽく見せたり、フィルムっぽく見せたりするデザインの記号になりうるわけですが、先日地下鉄車内で見た若者向けの広告ではパーフォレーションの穴の中にまで画像が入っていました。

「パーフォレーション型のフォトフレームかな」とか「フィルム越しに写真を撮ったのかな」とか考えてもいいんですが、そんなわけあるかと。

おそらくこの広告に携わったスタッフはフィルムを扱ったことのないメンバーだったんでしょう。フィルムを使っていない制作者がこれまたフィルムに縁がない若い世代に向けてなぜかフィルムっぽい演出をやるという、別の意味でうーんと唸らされる広告でした。

「フィルム死すともパーフォレーションは死せず」か。

 

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神家本家 家紋 / 印半纏

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保育業界のコンサルティング、株式会社カグヤさんの家紋と半纏のデザインです。カグヤさんは会社を一つの家と考え、社員は皆家族の一員だという思いを持って働いています。社名は「株式会社カグヤ」ですが気持ちは「神家本家(かぐやほんけ)」であると。その思いを表現した家紋と半纏を制作しました。

 

家紋「五枚笹に真向き月に一文字」

カグヤという名前は元々竹取物語のかぐや姫から取られたものです。主の図案は笹と月にし、それで円を形作っています。円は頂点がなく上も下もない共同体の象徴。その下の一文字は一家、一円、一心、一期一会。そしてカグヤさんの基本姿勢である「子ども第一主義」の一です。

 

半纏は藍染。衿字(えりじ)は籠文字、腰柄は角字(かくじ)と呼ばれる書体です。影文字(袋文字)にしているのは、お客様を影ながら支えるという意です。

 

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スター・ウォーズ/フォースの覚醒 タイトルロゴについて

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世界中で愛されているスペースオペラ。ついにエピソード7が公開になりました。

おなじみのキャラクターそれぞれにしっかり見せ場が用意されていて、古くからのファンは「いよっ! 待ってました!」と心の中で叫んだことでしょう。新たな主人公レイ(デイジー・リドリー)とフィン(ジョン・ボイエガ)も好演していてナイスキャスティングでした。

これほど隅々まで知り尽くされている作品もないわけで続編は相当難しかったと思いますが、お約束で期待に応えつつ驚きの展開も盛り込んで満足の出来でした。バトンタッチでこの王道感を出せるJ.J.エイブラムス監督は素晴らしいです。

 

さて、スター・ウォーズといえば冒頭にデーーン! と出てくるタイトルロゴ。かっこいいですね。あのロゴと音楽で一気に作品の中に引き込まれます。

今回の新作用ロゴも公開前からプロモーションで至る所で目にしたわけですが、職業柄、初見で「お?」と思いました。そしてすぐに「うん、そうだな」と納得しました。

一瞬引っかかった部分は、サブタイトル「THE FORCE AWAKENS」の文字。先頭の“T”と最後の“S”だけSTAR WARSの左右幅から飛び出しているんです。

ロゴデザインは基本的には揃えていく作業をやります。高さを揃えたり幅を揃えたり角度を揃えたり、ひとかたまりに、可能な限りシンプルな形にして単体で強いものにしていきます。ですので軽く考えると、このぐらいの出っ張りはSTAR WARSの左右幅に揃えてしまいたい、と思ってしまうところです。

ではなぜ飛び出させているか。作者の意図を勝手に汲んでみます。

 
まずオリジナルのスター・ウォーズのロゴを見てみると、全体のフォルムは長六角形を意識したものだとわかります。
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次に今回の新作用ロゴ。STARとWARSの行間を広げてTHE FORCE AWAKENSを挿入しています。天地は高くなりましたが、飛び出しているTとSを頂点として長6角形のフォルムになっています。オリジナルの雰囲気を崩すことなく新たなロゴにすることに成功しています。

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ではTとSを飛び出させずにSTAR WARSの左右幅に揃えてみたものはどうでしょうか。揃えた分、両サイドの縦のラインが強調されています。行間を空けて天地が高くなったこともあり、オリジナルの長6角形のシルエットは消え、長8角形が浮かび上がってきました。
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スター・ウォーズは全作品、宇宙空間から始まります。星をバックにしたタイトル、消失点に収束していくあらすじ、そして三角形の巨大戦艦スター・デストロイヤー。全てパースが効いているのは、果てしない宇宙の広大さを強調するためでしょう。

左右の頂点に収束していく6角形と、スパッと切れて終わっている8角形。どちらが宇宙の広がりを表現できているかは明快です。

 

しかしスター・ウォーズは世界で公開されるので、言語によっては全く6角形ではなくなっているロゴもありますね。日本語「フォースの覚醒」も短いので左右から飛び出させるわけにはいかなかったようですが、きちんと遠近感・奥行きを強調するようなサイズ・バランスになっています。

ロゴタイプやシンボルマークを見て、なんでだろう、 と思ったらじっくり観察してみると理由が色々見えてきて面白いですよ。

 

 

 

ヴァンヌーボ×15人の写真家

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2014年11月20日(木)—2015年1月13日(火) 竹尾 見本帖本店2F

 

印刷の再現性というのは通常ツルツルツヤツヤの平滑度の高い紙になるほど良くなります。家庭用プリンター用紙のフォト光沢紙がそういう紙ですね。ですがこのヴァンヌーボは手触り感がある「風合いのある」紙でありながら高い印刷再現性を持つという、いいとこ取りな紙です。マットな質感で且つ発色の良さを両立する「ラフ・グロス」の草分け的存在のヴァンヌーボ。発売20周年ということで日本を代表する写真家の作品を最高の印刷表現で追求する、という展覧会が開催されていました。

川内倫子さんの淡いトーンから森山大道さんのバキッとした黒、蜷川実花さんの鮮烈なブルー。「ヴァンヌーボを選んでおけば間違いない」という信頼感を持っているのですが、まさに万能選手です。

 

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これは会場で配布されていた解説パンフレット。全作品を中島英樹さんがアートディレクションされています。アートディレクターの指示に技術的に応えるプリンティングディレクターのコメントが頼もしい。会場には完成に至るまでの赤字指示を入れた初校、2校の校正刷りも展示してあり、こちらのほうも興味深く拝見しました。やはり良い紙を選び、校正を重ねて狙い通りのクオリティに仕上げられたものは凄味が違います。

 

 

「美しさを、見る世界に限り、用ゐる世界に求めなくなつたのは、近代の人が犯した大きな誤謬でした。」

 

民藝運動の柳宗悦の言葉ですが、美術館にある工芸品よりも、日々生活のなかで触れる実用品の良さ、美しさを大切にしなければ社会は向上しないと言っています。印刷物もそういう意味では実用品です。一点ものの美術品とは違って広く一般の手に行き渡るものです。美しい印刷物が多くの人の美意識の水準を引き上げる、と言っても過言ではないはず。

 

「スーツには良い生地を選ぶのに、名刺では安売りのチラシと同じ紙を選んでいる」のはやっぱりおかしいわけです。良い品質の印刷物の文化がもっと浸透しますように。