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孤独のグルメ

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簡単に言ってしまえば、中年男性が仕事の合間に立ち寄った店で食事をするだけの漫画です。ネット上では知る人ぞ知るという感じで昔から人気があったのですが、実写ドラマ化されてさらに有名になりました。

 

主人公の井之頭五郎は輸入雑貨の貿易商を個人でやっていて、商談のための外出先で食事をとります。グルメというぐらいだから食についての薀蓄が豊富なのかとおもいきや、一般的な素人レベルの知識で、単純に本人のこだわりや好みで判断します。料理も珍しいものはあまり出てきません。
一話完結で、ほぼ毎回
腹がへる→店を決めて中に入る→メニューを決めて注文する→料理が出てくるまで店内の観察→料理の感想→食い過ぎた→あまり重要ではないまとめ
という流れで話が進みます。
五郎の特徴として、食欲に任せて大量に注文してよく失敗します。同じく食材をよくダブらせます(ぶた肉いためにとん汁など)。ただこれらのシーンも何の誇張もなく淡々とドキュメンタリーのように描写されています。決して読者を笑わせようとしていない。私がこの作品を好きな点はここにあります。スーツを着た一見穏やかなイケメンダンディーが初めての店で勝手がわからないながらも、独り大好きな食を楽しもうとする。その哀愁というか滑稽さが見えてきてツボにハマります。普段は口数少ない五郎が我慢ならない横暴な店主にアームロックをかけたり、実は過去に「小雪(さゆき)」という女優とつきあっていたというパリの回想シーンなどは真面目な場面ですが噴飯モノです。

 

テレビドラマは原作者久住さん出演のミニコーナーもあり、あれはあれで楽しかったのですが、自分にとっての五郎のイメージは松重豊さん演ずる良いおっさんというより、もうちょっと得体の知れない普通そうに見える変人ですね。
あと、ドラマはちょっと演出が過剰気味かなと。エンターテインメント然としなくていいんですよね。送り手が「ここが面白いでしょ」とわかりやすく提示する笑いと、受け手が「ここが面白いなぁ」と感じるのはやっぱり全く違うわけで。テレビ的にそれをやるとわかりにくすぎると思われたのかもしれませんが。

 

それにしても原作の久住さんは日常の中の取るに足らない(と思われがちな)可笑しさや味わい深さを見つける目がすばらしい。そこに人間をリアルに描く谷口ジローさんの絵が組み合わさって、この傑作が生まれたんだと思います。

 

 

反復

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