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トーマス・ルフ展 / THOMAS RUFF

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2016年8月30日(火)—11月13日(日)

東京国立近代美術館

 

アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルートらとともに ベッヒャー派として有名な写真家トーマス・ルフ。

 

一口に写真家と言っても様々でして、
人、もの、場所、風景など被写体を美しく撮るんだという人。
出来事の記録、シーンなどドキュメンタリーで人間社会を表そうとする人。
決定的瞬間、絵画的構図を狙う人。
笑える写真を撮る人。
などなどひとくくりにはできない多様さがあります。

 

私はグラフィックデザイナーなので形や色が心理に与える影響だとか、視覚による認識やビジュアルコミュニケーションの秘密にとても興味があります。そして写真家には「写真とは何か」「見るということは何か」を追い求めている人たちがいて、その表現がとても参考になるんです。このトーマス・ルフもそういう写真家です。

 

Porträtsという作品は証明写真のような人物のポートレート。普通のサイズの人物写真では「これは誰それだ」と被写体だけに意識が行きますが、2メートルの巨大な人物写真を前にすると「これは誰それの巨大な写真だ」と写真を見ていることに自覚的になります。

 

Nächteは湾岸戦争終結の翌年、暗視装置付きのカメラで夜の街を撮影したもの。ピンホール状にフレーミングされグリーンがかった写真は、世界中で中継された雨のように砲弾が降り注ぐあの戦闘の映像を想起させます。

 

Sterneというシリーズでは天文台のアーカイブから星の写真のネガを選んで作品として発表しています。自分では撮影せずにすでにあるイメージを素材にするという先駆けになりました。

 

jpegというシリーズではネットに溢れかえっている画像をピックアップし圧縮率を高めてわざとブロックノイズを発生させてモザイク状の作品にしています。

 

写真家でありながら2000年頃から以降、自らカメラを使って撮影するという作業をやっていないとのこと。面白いですね。この方にとってはカメラで撮影することは写真表現のなかの一側面でしかない、ということなんでしょう。

 

私も表現の核は選ぶことだと思っています。

いかに選ぶか、いかに編集するか。ここはまだまだ機械には任せられないです。

しかしこの先人工知能のアイディアが人間に迫ってきたら。トーマス・ルフなら全てAI任せという作品を出すかもしれないですね

 

 

 

オートマティック

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フィルムカメラに比べるとデジタルカメラでは好きな写真が撮れたと感じることが少ないんです。フィルムの粒状性や色の転びが無いのが物足りないんでしょう。

なんでも「デジタルに頼りすぎちゃ上達しない」と言われますけど、この場合アナログのほうが何にもしなくていいんですよね。

 

 

 

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