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想像しなおし

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狩野哲郎 川辺ナホ 大西康明 手塚愛子 山本高之 山内光枝
2014年1月5日―2月23日 福岡市美術館

 

このブログの公開時にはすでに会期が終わっていて申し訳ないです。
現代美術作家6名の展覧会でした。

 

「想像しなおし」
まずタイトルが最高です。インパクトがあって尚且つわかりやすい。この展覧会のキュレーター正路佐知子さんは当初このタイトルで伝わるかどうかわからなかったと言われてましたが、ここまでシンプルに展覧会の目的までも明確に伝えられるタイトルはなかなかないと思います。「想像しなおし」は本企画に大きな影響を与えたテッサ・モーリス=スズキ『批判的想像力のために』に登場する言葉とのこと。

 

展示会場は作家毎にスペースが区切られていて作品でコラボレーションしているわけではありません。出品作家6名は作品の主題も形式もまったくバラバラですが、既存の価値観や枠組みを疑って別の可能性を求めていくという姿勢で共通している。と説明にはありました。差異を際だたせることで鑑賞者も想像し直すひとりになり得ることを示唆したと。まさに私も作品を見ながら自分のことに置換えて考えながら進みました。

 

大西康明
天井から無数に吊られたビニールロープに接着剤が垂らされ、尿素の結晶をまとい、真っ白な雪と雨と蜘蛛の巣を定着させたような巨大な作品。作品に接着剤を使用するのは行為と時間の残骸・痕跡をとどめてくれるからだとか。

 

手塚愛子
織物から糸を引き抜いて別の形に刺繍されています。歴史を引き出し読み解き再解釈していく。古美術品と大量生産品を並べての展示は訴えかけてくるものがあります。あなたはどちら(の世界)を選ぶのかと問われているかのようです。

 

川辺ナホ
視覚についての問題提起。ここ数年ものごとの捉え方は科学に大きなヒントがあると思って注目している自分にとっては符合が合った気がしてとても興味深い展示でした。たくさんの球体が吊るされ宇宙を思わせる空間。ある方向から光に照らされた時、たくさんの球体の影は文字になって壁に現れます。私たちの宇宙は別のパラレル宇宙からのホログラムであるという「宇宙ホログラフィック原理」を想起しました。さらに展示作品ではありませんが図録で紹介されていた2004年のビデオ作品Sugarhouseにもハッとさせられます。一見何もない真っ白い空間に赤い水が降り注ぎ、染み込み、次第にそれが角砂糖で作られた家であるとわかりますが、最後には赤い水の中に崩れていく。「見えないものを見えるようにすることは、一種の破壊行為でもあり、視線はその対象を変化させてしまう危険をはらんでいます。」との考えらしいですが、これはまさに量子力学の観察者効果と同じ。あたりまえと思って見ているものに潜む嘘や曖昧さ、見えないけれど存在する意味、考えさせられます。

 

狩野哲郎
既成品のロープやガラスの器、陶磁器、スーパーボールなどで作られたオブジェ。別の部屋へ入ると鳥が! 部屋には先ほどと同じような材料で作られた大きなオブジェがあるが、展示会場に鳥を放つことで、そのものの意味が変わってしまう。部屋の人が少なくなると鳥が鳴きはじめて可愛らしかったです。

 

山本高之
子どもを対象としたワークショップの映像。『スプーン曲げを教える』ではスプーン曲げのタネを教えられた小学生たちが次々にカメラに向かってスプーン曲げを披露する。トリックの片棒を担いでいる子どもたちの微妙な表情も面白かったのですが、一緒に見ていた妻が本当に曲げていると勘違いして「すごいね」と言っていたのが更に面白かったです。『Facing the Unknown』は幼い姉弟に大学教授がブラックホールについて説明する動画で、理解しているふり?の姉、全く理解していない弟の反応が絶妙に記録されています。『なまはげに質問する』では子どもたちがなまはげに手紙をかいているのですが、ほとんどの子が「なまはげさんの好きな色はなんですか」と聞いていて吹き出しました。あと定型句の存在ですね。同じような作文が多い。子どもって意外に小さい頃から空気を読むし、型にはめられてしまっているんですよね。

 

山内光枝
5枚のスクリーンに映し出される映像と部屋を取り囲むドローイングのインスタレーション。海女を追いかけ、生活を共にして、一緒に潜って撮影した映像。入り込み、自分の身体を通すことによって得られることこそが説得力を持って他者に響く。そうですね、情熱が全ての原動力です。

 

 

自分自身も個人的な小さい狭い事だったりするのですが、良しとされているものを本当にそうか、当たり前になっていることをこれでいいのかと疑ってみる、想像しなおすということはかなり意識している事でした。結局一人ひとりがより良い世界を想像しなおすしかないということでしょうか。この展覧会もそうで、ひとつの大きな問題に対してこうあるべきだとは言っていなくて、ひとつのきっかけになればいいということのようです。良い展覧会でした。シリーズ化を期待します。

 

 

photo

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こちらは写真やカメラについての記事を投稿していく予定です。

 

design

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こちらはデザインについての記事を投稿していく予定です。

 

work

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こちらは仕事について投稿していく予定です。

 

impressions

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こちらは何かを見た時の感想を投稿していく予定です。