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雪の女王

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「アナと雪の女王」がヒットしていますね。実は観ていないんですけど。
ここで紹介するのはアナ雪じゃない方のアニメ「雪の女王」です。

 

1957年(!)のソ連時代のロシアアニメーション映画です。監督はレフ・アタマーノフ。宮崎駿、高畑勲監督たちに大きな影響を与えたことで知られるこの作品。三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーでDVD化されています。

 

幼なじみでとても仲良しの少年カイと少女ゲルダ。いつも一緒に楽しく暮らしていたが、ある晩カイが雪の女王に目をつけられ魔法で冷たい性格に変えられてしまう。別人のようになったカイに意地悪をされても離れようとしないゲルダ。しかし雪の女王はカイをゲルダの元から連れ去ってしまう。たった一人カイを探しに旅に出るゲルダ。カイを見つけ出し取り戻すことができるか……
というストーリーです。

 

半世紀以上前の作品なのに、光や自然の表現が美しく、アニメーションの動きがとてもなめらかで驚きます。ディズニーと同様に実写の動きをトレースしてアニメーションを作る「ロトスコープ」という手法を使っているようですが、ディズニーのちょっと大げさに見せる動きとは違って、人も動物たちの動きも本当にリアルです。
人物の顔はアニメのキャラクターとしては地味に見えますが優しい印象で好感が持てます。この下睫の線を描かない目の描き方というのを宮崎監督たちが倣って日本で始め、今では日本アニメの主流になっているそうです。

 

作品を貫くとにかくカイを見つけるんだという主人公ゲルダの真っ直ぐな想い。ナウシカ、シータ、ソフィー、ポニョ、宮崎作品のヒロインみんなが持っているひたむきさはゲルダが原点になっているのだと感じました。
旅を続けるゲルダを囚えた山賊の娘も、ゲルダのカイへの熱い想いに心を動かされ、ゲルダだけでなく捕らえていた動物たちを次々に解放します。強がって憎まれ口を叩いていた山賊の娘は、本当は心からの友達が欲しくて寂しかったのだと気づいて泣き崩れます。それを見て逃げ出さずに娘にそっと寄り添う動物たち。心を打つシーンです。宮崎監督もここがこの映画の頂点だと語っています。

 

「白蛇伝」を観てアニメーターをめざし「雪の女王」を観てアニメーターになって良かったと思ったと宮崎監督に言わしめた作品。傑作です。