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ブリューゲル「バベルの塔」展

babel

2017年4月18日(火)—7月2日(日)

東京都美術館

 

ひとつの絵画を主役に据えた展覧会。バベルの塔はそれぐらいインパクトのある作品ということでしょう。

 

展示は3フロアに分かれていて、まず16世紀ネーデルラントの彫刻や絵画が紹介されます。

フロアを上がるとブリューゲルに大きな影響を与えた人気作家、ヒエロニムス・ボスの作品が登場。のちのシュルレアリスムを思わせるような奇怪な作風は多くのフォロワーを生み、ブリューゲルもボスを模倣したたくさんの版画を制作しています。

そして最後のフロア。待望のバベルの塔が出現します。

絵のサイズはそんなに大きなものではないんですが、超々緻密で圧倒されます。Retinaディスプレイかなと。ルーペで見ながら描いたんじゃないかというぐらいの細かさ。人物が1400人描かれていて、米粒より小さいのに何をしているかわかるという。近寄っても見えませんでしたけど。最後に東京藝大協力による300%に拡大された複製画が展示されていて、これはありがたい、と。

 

ブリューゲルはファンタジーの世界を描いているからか、影響を受けたアニメ作家・漫画家が多いようです。

「AKIRA」の大友克洋監督。ここまで描くかという緻密な描写で知られています。この展覧会にあわせてバベルの塔の内側を描いた「INSIDE BABEL」を制作しています。入口横ロビーに展示されていますのでお見逃しなく。

宮崎駿監督。ラピュタは見るからにバベルの塔ですね。ナウシカの原作漫画の絵はブリューゲルの版画っぽい。本人もブリューゲルが大好きだと語っています。バベルの塔は人間の生きる力を描いた絵だという人がいるが、違う。人間とはいかに愚かなものかというのを描いている。だから好き、なんだそうです。

それと三浦建太郎。ベルセルクの魔物たちはまんまボス&ブリューゲルのオマージュでしょう。「ギョエー“蝕”やん」と思いながら見て回りました。

 

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バベルの塔をモデリングした3DCG映像もかなり凝っていてなかなかにエンターテインメントな展覧会でした。ブリューゲルの画題は重いものもありますが、何かしらユーモラスなのでこういうノリが合うのかもしれないです。