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ジブリの大博覧会

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2016年7月7日(木)—9月11日(日)

六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内スカイギャラリー

 

スタジオジブリ30年間の歩みを振り返る展覧会です。

鈴木敏夫プロデューサーが開幕直前に無理を言って入場料を2,300円から映画と同じ1,800円に変更させるというニュースもありました。小アクシデントを宣伝に転換するお家芸も健在です。

今回の内容は宮崎駿・高畑勲監督をフィーチャーして制作現場を紹介するのではなく、鈴木敏夫さん側のプロデューサー目線での作品紹介という印象でした。

当時のポスター、新聞広告、販促グッズをメインに、企画書、スケジュール表、宣伝制作のメモ、コピーライター糸井重里さんと鈴木さんとのやり取りなど膨大な資料を見ることができます。トトロや猫バス、迫力の飛行船など立体物も多数展示されています。

 

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当時子どもながらに「風の谷のナウシカ」にただならぬ雰囲気を感じていたんですが、プラモデルのボックスアートで知られる高荷義之さんがポスターを描いていたり、タイトルロゴを「ゴジラ」をイメージしてデザインしたということを知って、なるほどその影響だったのかと納得しました。

 

宮崎駿監督の影響でものづくりの仕事を志し、糸井重里さんの存在を知って広告業界をめざした自分にとってはまさにルーツが凝縮されたような空間でした。

 

 

 

ライアン・マッギンレー BODY LOUD!

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2016年4月16日(土)—7月10日(日)

東京オペラシティ アートギャラリー

 

ライアン・マッギンレーといえばヌード。

ヌードの写真って、見る方にとっては、痛々しかったり、生々しすぎたりしませんか。あるいは「どうだ」みたいな感じで写真自体がドヤ顔していたり。

ライアン・マッギンレーの写真にはそれらがありません。問題提起がない、ジメッとしたエロさもない、写っている人物のバックグラウンドが気にならない、ただただ美しさとエネルギーと神秘性を感じる写真です。

 

デビューのきっかけになったのは、親しい友人たちとのニューヨーク・ダウンタウンでの享楽主義的な日常をドキュメンタリーの手法で収めた小冊子です。感覚的に被写体に飛び込むタイプの写真家かと思いきや、その後は色彩も構図も考え抜かれた洗練された作品づくりになっています。もともとパーソンズ・スクール・オブ・デザインでも専攻は写真ではなくグラフィックデザインであり、写真史にも精通していて、オリジナルな表現のためには何をすべきか明確にコンセプトを考えるタイプの写真家のようです。そこがアートシーンでも高く評価されている理由なんでしょうね。

 

自分的にライアン・マッギンレーの写真は、ヌード写真ということで言えば唯一、家に飾っておける写真かもしれません。

 

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スター・ウォーズ/フォースの覚醒 タイトルロゴについて

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世界中で愛されているスペースオペラ。ついにエピソード7が公開になりました。

おなじみのキャラクターそれぞれにしっかり見せ場が用意されていて、古くからのファンは「いよっ! 待ってました!」と心の中で叫んだことでしょう。新たな主人公レイ(デイジー・リドリー)とフィン(ジョン・ボイエガ)も好演していてナイスキャスティングでした。

これほど隅々まで知り尽くされている作品もないわけで続編は相当難しかったと思いますが、お約束で期待に応えつつ驚きの展開も盛り込んで満足の出来でした。バトンタッチでこの王道感を出せるJ.J.エイブラムス監督は素晴らしいです。

 

さて、スター・ウォーズといえば冒頭にデーーン! と出てくるタイトルロゴ。かっこいいですね。あのロゴと音楽で一気に作品の中に引き込まれます。

今回の新作用ロゴも公開前からプロモーションで至る所で目にしたわけですが、職業柄、初見で「お?」と思いました。そしてすぐに「うん、そうだな」と納得しました。

一瞬引っかかった部分は、サブタイトル「THE FORCE AWAKENS」の文字。先頭の“T”と最後の“S”だけSTAR WARSの左右幅から飛び出しているんです。

ロゴデザインは基本的には揃えていく作業をやります。高さを揃えたり幅を揃えたり角度を揃えたり、ひとかたまりに、可能な限りシンプルな形にして単体で強いものにしていきます。ですので軽く考えると、このぐらいの出っ張りはSTAR WARSの左右幅に揃えてしまいたい、と思ってしまうところです。

ではなぜ飛び出させているか。作者の意図を勝手に汲んでみます。

 
まずオリジナルのスター・ウォーズのロゴを見てみると、全体のフォルムは長六角形を意識したものだとわかります。
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次に今回の新作用ロゴ。STARとWARSの行間を広げてTHE FORCE AWAKENSを挿入しています。天地は高くなりましたが、飛び出しているTとSを頂点として長6角形のフォルムになっています。オリジナルの雰囲気を崩すことなく新たなロゴにすることに成功しています。

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ではTとSを飛び出させずにSTAR WARSの左右幅に揃えてみたものはどうでしょうか。揃えた分、両サイドの縦のラインが強調されています。行間を空けて天地が高くなったこともあり、オリジナルの長6角形のシルエットは消え、長8角形が浮かび上がってきました。
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スター・ウォーズは全作品、宇宙空間から始まります。星をバックにしたタイトル、消失点に収束していくあらすじ、そして三角形の巨大戦艦スター・デストロイヤー。全てパースが効いているのは、果てしない宇宙の広大さを強調するためでしょう。

左右の頂点に収束していく6角形と、スパッと切れて終わっている8角形。どちらが宇宙の広がりを表現できているかは明快です。

 

しかしスター・ウォーズは世界で公開されるので、言語によっては全く6角形ではなくなっているロゴもありますね。日本語「フォースの覚醒」も短いので左右から飛び出させるわけにはいかなかったようですが、きちんと遠近感・奥行きを強調するようなサイズ・バランスになっています。

ロゴタイプやシンボルマークを見て、なんでだろう、 と思ったらじっくり観察してみると理由が色々見えてきて面白いですよ。

 

 

 

ジョン・ウッド&ポール・ハリソン|説明しにくいこともある

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2015年11月21日(土)—2016年2月21日(日)

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

 

Eテレの『2355』で時折流れていた不思議な映像。「by John Wood and Paul Harrison」のナレーションで締めくくられるアレです。以前、興味を持った時に調べて本を買ってみたのですが映像のコマを写真で並べて紹介されてもさすがになんのこっちゃでした。映像は映像で見ないとダメですね。展覧会でようやく映像を体験することができました。

 

SOME THINGS ARE HARD TO EXPLAIN 説明しにくいこともある

いいタイトルです。個人的にはALL THINGS ARE HARD TO EXPLAINと言いたいぐらい共感します。

ジョン・ウッドとポール・ハリソンは1993年から共同で映像作品を制作している英国のアーティストです。作品はそれこそ説明しにくいのですが、例えば二人の足を二人三脚状態に縛り、打ち出されるテニスボールから延々と逃げ回る、とか、同じ種類の皿を同じ場所に次々に落とすとどうなるか、とか、山と送電線と鉄塔のミニチュアを作り、山を平らにしたら鉄塔たちはどうなるか、とか、はしごを登っていく人物がフレームアウトした瞬間、その人物と同じ服を着せた人形が落下してくるというのを100回繰り返す、とか……

全て、淡々と、無表情で、実験の記録のような映像なのですが、見ているこちらはおもわず笑ってしまったり、ドキッとしたり、うーんと考えさせられたりと、心を動かされます。非常に削ぎ落とされた要素で構成されているので、人間の感情のスイッチの秘密を垣間見られるような気がしてきます。

 

 

 

鈴木理策写真展 意識の流れ

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2015年7月18日(土)—9月23日(水・祝)

東京オペラシティ アートギャラリー

 

鈴木理策さんの個展を拝見するのは初めてでした。

8×10の大型カメラで撮影され、特大の印画紙に引き伸ばされた写真。浅めのピントで風景の中のどこかにフォーカスが来ているのですが、

「あれ……別にここを見せたいわけではなさそうだ」と気づきます。

通常はピントが来ている部分が主題と感じるはずなのですが、この方の写真はそうではなく、どこを見てもいいようになっています。言わば全体が等価値。

 

ニューカラーと言われる写真では大型カメラで絞りを絞って画面の隅々までピントが来るようにする。それによりピークがない写真になり、全体が等価値になる。と記憶していたのですが、浅いピントでも写真全体が等価値に感じられるのは不思議です。

大判フィルムの圧倒的な情報量と大画面も手伝って、実際にその場所に自分がいるかのような目の動きになります。その際に、ピントが合っている部分、あっていない部分が、見ているのに意識がオンとオフを繰り返すような新鮮な体験をさせられる、といった感じでしょうか。

「何が写っているか」、よりも、「見るということ」を考えさせられる写真です。

 

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会場に展示されていた言葉。まさにこれですね。

鈴木理策さんはフレーミングを気にせず、ある場所にピントを合わせたら、風や音や光をきっかけにシャッターを押すとのこと。

じっくり構図を決めて、シャッターチャンスを待って撮られた写真は、撮影者と写真を見る人とのコミュニケーションもその一点だけになってしまうから、だそうです。

 

自分の頭の中で、見るということはどういうことなのかを考える、そして視点を発見する、ということもすごいのですが、それを他人にも体験させるために、どのような手法でどのような写真を撮ればいいのかを編み出し実現できるというのは、もうある意味科学と言えるかもしれません。驚嘆します。