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ベルセルク

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2021年5月6日、漫画家の三浦健太郎さんがご逝去されました。

 

ベルセルクはここ数年(もっと?)私が一番新刊を楽しみにしていた漫画でした。

初見の印象は「いや、こんなひどい話あるか…」。

救いのないどん底の中でもがきつづける主人公ガッツ。

凄惨すぎる物語は正直苦手ですが、ベルセルクには絶望の中にも一条の光がありました。人間讃歌が根底にある。

壮大なストーリーと狂気を感じるほどの圧倒的な描き込み。遅々として新刊は出ませんでしたが惹きつけて離さない魅力がありました。

1989年に始まり30年。既刊は40巻。

ゴールに辿り着くにはまだまだ山が四つ五つ。明かされていない秘密も山盛り。

「ベルセルクは作者が死ぬまでに終わらない」と冗談で言われていましたが、まさか。

前回投稿した、綺麗に完結を迎えたエヴァンゲリオンとは対照的。

喪失感。

ネットに流れてくる作者を偲ぶさまざまなつぶやきの中に

「三浦先生いわく、ベルセルクはハッピーエンドになる」って、聞いて- との話。

 

うん。きっと、そのはずだ。

 

 

 

エヴァンゲリオン

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ネタバレはしないのでご安心を。

 

テレビシリーズが放送終了した1996年。

私は当時、熊本の広告代理店に勤務。熊本では放映されておらずインターネットもそこまで普及していない時代。

「エヴァンゲリオンというとんでもないアニメがあるらしい」と社内で話題になりはじめ、その存在を知った。

ジブリ以外の作品でアニメが話題になることはめずらしかった。ましてやエヴァンゲリオンは巨大ロボットアニメ。だがその反響は普段アニメに興味がない層からもその名が出るほどだった。

 

最初はレンタルビデオで観た。

衝撃だった。DTP系フォント[マティスEB]を使用した洗練されたタイトルデザイン。主役らしくない禍々しいデザインのロボット。というかそもそもロボットじゃなかった。全く説明されないまま進んでいくストーリー。使徒と呼ばれる簡単すぎる造形の謎の敵。宗教から引用された名を持つ難解な設定の数々。人間の内面に深く切り込んでいくシナリオ。人間ドラマだけでエヴァが全く出てこない回すらある。ビデオが壊れたかと思うほど長く沈黙させるなどの特異な演出。そして最後は伏線を投げっ放しにメタフィクション的に終了。

 

ブームは広がって、社員の誰かが借りてきたビデオを職場でみんなで観たり、営業の先輩が外出ついでに「森下くん、エヴァのプラモ買いに行こうよ!」とスーツ姿でおもちゃ屋に行ったり、テレビ局にマニアな人がいてレーザーディスクを全巻貸してくれたこともあった。繰り返し観ていたら「はよ返して」と催促されたりして。何かに夢中な時期は熱量でおかしくなってしまうが、振り返れば楽しい想い出だ。

 

1997年に公開された映画も観に行った。

その後10年経って開始した2007年からの新しい劇場版シリーズも追いかけてきた。

そして今年2021年、ついに完結編が公開。アニメ放送開始から25年。

スター・ウォーズもそうだったが、長い年月を経て体験していく作品には観る側の人生も組み込まれていく。

完結編を観ながら、エヴァンゲリオンは「エヴァンゲリオン+私」になってしまったのを感じた。

 

 

 

 

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ストーリーの考察はあちこちで散々されているので、ここではエヴァンゲリオンという作品と現実社会の関係について少し。

 

エヴァンゲリオンは現実社会のメタファーに満ち、現実の出来事とリンクしている。これは庵野監督が時代や社会、アニメ界の流れに敏感に反応し、作品の中に自身の正直な思いを描くタイプの作家だからだ。

 

エヴァンゲリオン制作のテーマは当時の企画書によれば


私たちは、観客である子供たちが本企画・アニメーションという「夢の中にある現実」を観て、「自分の意思で生きること」とは何かを感じ取って欲しい、と願っているのです。

また私たちは、子供たちが成長し大人になったとき、自らの「理性」で「現実の正義と愛」を考えてみてほしい、と願っているのです。


というものだった。
プレゼンテーションの方便もあるとは思うがここに嘘はないと思う。
私は宮崎駿が庵野秀明を評価しているのは手腕ではなく姿勢にあると思っている。この二人は作風は違えど、アニメーションをどういうつもりで作り、アニメーションで世の中にどう関わっていくかという姿勢は同じだ。

 

しかし、テレビ放送終了後、エヴァンゲリオンという作品はテーマ通りには受け取られなかった。ハッピーエンドの放棄、メタフィクションによる現実回帰では、観客には伝わらなかった。
未回収の伏線に注目が行き、主題そっちのけで謎解きが熱狂を生んだ。本来のターゲットである少年少女よりも「キャラ萌え」を求めた大人のマニアが中心になった。エヴァの大ヒットにより、その手法のみが注目され、アニメ界はますますメディアミックス、DVD売り上げ主義、オタク向けの作品とオタクだけで完結する閉じた世界になってしまった。

 

その後に公開した劇場版ではもっとストレートにオタクに向けて「目を覚ませ」と水をぶっかけるメタ表現をしたが、焼け石に水。庵野監督への批判の声も増した。作品中でシンジが世界を作り替えたように、エヴァンゲリオンはアニメ界を作り替えてしまった。もっと悪い方へ。
「書を捨てよ、町へ出よう」の狙いのはずが、逆にアニメ作品が現実逃避の場そのものになってしまった。

 

「なんでだよ。こんなことになってるなんて……」

 

とはヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qのシンジのセリフ。
エヴァンゲリオンが図らずも変えてしまったアニメ界に対する監督自身の言葉とも取れる。
新劇場版:Q の「Q」とは「旧」の意味もあるのではないか。
監督の意思とは逆の世界になってしまった「旧劇場版」までのエヴァンゲリオンが起こしたインパクト。新シリーズで再びエヴァンゲリオンを描いていく中で、現実に起きたあの悪夢のような状況をもう一度描いて見せる必要があった。それがQだったのではないかと思う。
「新劇場版は序、破、といい流れで来ていたのにひどい!」といろいろ言われたQだが、必要なステップだった。ただ、監督のその後数年の鬱状態のきっかけとなったと言われており、いかに身を削って作ってきたかを物語っている。

 

時が経ち、絶望を感じていたアニメ業界に帰ってきた庵野監督。
自分のやったことに落とし前をつけるために。
この落とし前、ケリをつけるというセリフも完結編で何度も出てくる。

 

作品に閉じこもったオタクたちは完結編であるシン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観てどう行動するだろうか。そしてアニメ界が本来の姿に戻るインパクトは起きるのか。

 

社会がどうなるかはわからないが
「旧劇場版」は北風。「シン—」は太陽だった。
監督自身が暖かさを持って描けたのかもしれない。
私は快く上着を脱いだ。

 

 

 

 

 

 

いのちのたび博物館

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ついに竜王の城へ

 

 

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入ってすぐラスボス登場

 

 

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竜王との取り引きに応じモンスター軍団を率いる

 

 

ここは良い、ここは行くべきと聞いてはいましたが、本当にいいですね。

恐竜の化石の展示で言えば、東京の国立科学博物館に負けてないと思う。

中心の広大な空間に恐竜を全部集めてあるんです。まるで集団で行進しているみたいに。迫力がすごいし、隣り合ってるから大きさの比較にもなる。いやこの展示方法、ニューヨークの自然史博物館よりも良いかも。

 

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TENET テネット

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クリストファー・ノーラン監督の新作。

自分の脳みそじゃ処理が追いつきませんでした。
見終わった後、ジュースをひっくり返しそうになり、帰りのエスカレーターで逆に歩きそうになる。そんな危険な映画です。

 

アイディアの科学的考証については、インターステラーの時と同じく理論物理学者のキップ・ソーンにアドバイスをもらっているようです。SFの面白さは「いかにありえそうな世界を作り出せるか」。科学的に理解はできなくても嘘くさいのはわかるので、理論をちゃんと踏まえた上でとんでもない映像を見せてくれるノーラン監督の作品はとても楽しめます。

 

 

デザインのひきだし40

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昔はポスターの紙選びでワクワクしたものです。
今は有無を言わさずマットコートに決まっていたりしますし、特殊印刷をやる機会も減りました。

 
それでも名刺は。
大切な第一印象のためのツールであり、実際手に触れるもの。良い紙を選び、こだわりの特殊印刷が活躍する印刷物最後の砦です。
 

このデザインのひきだし40は、名刺・カードの特殊印刷の特集号。目玉は付録で、印刷加工の実物サンプルが92点もついてきます。これで2000円は破格。以前、特殊印刷をまとめた本がありましたが、14000円ぐらいしてました。
 

名刺の印刷見本、欲しかったんだよね〜と注文しようとすると、SNSで話題になったようで、すでにどこも売り切れ。この付録内容からするに増刷は無さそうだぞ…ってことで、執念で手に入れました。

今はフリマとかオークションで倍以上の価格になってます。欲しい人たちや必要な人たちが買って品切れならいいんだけど、話題になるとすぐ転売ヤーがわいてくるのどうにかならんもんか。こんなマニアックな領域にまでね。
 

特色、活版印刷、箔押しはもちろん、エンボス、合紙、小口染め、和紙、バーコ、フロッキー、折り加工、プリズムプリント、ホログラム、レーザーカット、香りつき、などなど、できることはほぼ網羅されている感じ。肝心の「実際、印刷したらいくらかかるのか」の目安も掲載されています。
 

まずは自分の名刺で試してみようと思います。