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父の足跡を訪ねて

tosho gesyuku

 

父は私が10歳の時に他界したが、今も自分にとって最も偉大な存在だ。

 
家族の古い写真が入った箱の中に父の早稲田大学時代の図書室入館証が残っていた。そこには当時の下宿先の住所が記されている。祖母と写った下宿先の部屋と思われる写真も1枚だけあった。
先日ふと、この二つを頼りに下宿先を探してみようと思い立ったのだった。

果たして辿り着けるのか——

 

 

 

入館証に書かれた住所は「松庵北町○△×」。まずはグーグルマップで検索。「松庵」しか出てこない。調べてみると「松庵北町」は1969年に無くなった住所らしい。がーん。
しかし杉並区の過去と現在の町名区分を比較できるサイトを発見。それによると現在の松庵は、松庵北町・松庵南町・西高井戸がまとまったエリアで、松庵の北西部が当時の松庵北町ということだそうだ。ネット社会万歳。おおよそ絞り込めたので楽観視して「あとは現地に行って探してみよう」となった。

 

 

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高田馬場駅へ。昭和30年代当時、父は高田馬場から山手線で新宿まで行き、中央線に乗り換えて松庵北町の最寄駅である西荻窪へ帰っていたのではないかと思われる。

 

 

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中央線で西荻窪到着。好きな雰囲気だ。古い建物が残っている。古いお店で情報を得ようと考えていたので期待が持てる。

 

 

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始めの目的地は決めていた。「松庵文庫」という古い民家をいかしたカフェへ。ここなら昔の町のことが聞けるかもしれない。

 
ゆったりと落ち着いた雰囲気の店内…だが、ランチタイムで店員さんたちはてんてこ舞いしている。人気店らしく人通りの少ないのんびりした住宅街の中にありながらお客さんがどんどん来る。ゆっくり話しかけられる雰囲気ではない。

 

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タイミングマズったかな…と思いつつ庭を眺めながらカレーを食べる。カレーおいしい。
テーブルには父の愛読書だった「竜馬がゆく」が並んでいた。

 

若い男性の店員さんがアフターコーヒーを持ってくるタイミングでこの店のことを聞いてみた。

建物は築80年ぐらいで、庭のツツジは樹齢100年。もともとは音楽家のご夫婦が暮らしていた家だったそう。どうりでいい雰囲気だ。

そしてかつてはここの住所も松庵北町だったはず。

 

 

若いからわからないかなとは思いつつ「実はこのあたりの古い住所のことを調べていて…」と聞くと、厨房にいるオーナーらしき女性にたずねてくれた。その女性も若かったけれど。

 
「松庵北町ですか? このあたりは西高井戸といっていたみたいですよ。電信柱に古い表示が残っていて…」
そうか、西高井戸。スマホで古い町名区分を確認してみる。予想よりもう少し西側が松庵北町になるのか。エリアがさらに絞り込まれた。

 
「ありがとうございます」混んでなかったらもう少し話を聞きたかったが、店を出て西に向かう。その後店の前を何度も通ることになるのも知らずに。

 

 

 

後半へつづく